ハッピーとは程遠いバースディ
日付も変わる夜も遅い時間に帰宅する。
恐らく彼女も寝ているだろうと、静かにドアノブを回して玄関の扉をくぐる。
家の中はいつもと変わる事なく静まりかえっていた。
少し寝室を覗いてみると規則正しい寝息をたてて眠っているみたいだ。
起こさない様に注意を払い寝室の扉を閉める。
彼女の存在に少し疲れが癒された気がして安堵する。
いつもの様に浴室に向かい、一日の疲れを汚れと一緒に洗い流す。
ぐっさん
『ふー……出たら少し何か食べて寝るか』
シャワーの音に紛れて独り言を呟く。
部屋着に着替えて浴室を出ると、奥のリビングの方で何か物音がしている。
泥棒だろうか……不安が頭の中を巡る。
逡巡する気持ちを抑えて傍にあったバールの様なものを持ち、リビングのドアノブに手を掛ける。
心の中で掛け声をひとつ、一気にドアを開け放つと――――
桜
『お帰りなさい』
ぐっさん
『え? あ、れ?』
桜
『ふふ、どうしたんですか? 棒なんて持って』
何とも間抜けな格好の自分に柔らかく破顔するのは先ほど寝ていたと思っていた桜。
テーブルの上には、こぼれ落ちそうな位の豪華な料理と…………ケーキ?
ぐっさん
『え、と。何から聞いたらいいのか……どうしたんだ?』
桜
『あら、ぐっさんったら可笑しい人ですね。今日は何の日ですか?』
ぐっさん
『…………あ』
ケーキに豪華な料理に日付が変わって今日、15日。
ぐっさん
『俺の誕生日だ』
桜
『正解です。さ、座ってくださいな』
桜に促され席に着く。
ぐっさん
『そ、それにしても凄い料理だな』
桜
『だって、ぐっさんはいっぱい食べますでしょ? それに今日は中華にも挑戦したんですよ』
ぐっさん
『いやぁ、あっはっは。勿論、食べる食べる、これぐらいじゃ足りないくらいかな』
桜
『まぁ、ぐっさんったら。ふふ』
箸を持って手近な所から食べ始める。
時間を見越して作っていたのだろうか、冷めてなくて温かい。
それと……。
ぐっさん
『旨い!』
空腹も相まってか、箸の勢いは止まらす゛一心に食べる。
それを見てか、桜は一層目を細めて笑顔になる。
ぐっさん
『ん、むぐ……桜は食べないのか?』
桜
『うん、私もお腹空いちゃったし食べますよ』
とは言うものの箸は持たす゛に、やっぱり笑顔でこちらを見る。
ちょっとだけ気恥ずかしい。
桜
『ねぇ、ぐっさん』
ぐっさん
『ん?』
桜
『お誕生日おめでとう』
端的でストレートな言葉が心の奥にストンと収まる。
落ち着いた桜の言葉が染みる様にじんわりと暖かくなった。
ぐっさん
『ありがとう』
食事の手を止め、俺も素直に言葉にして伝えた。
桜
『ふふ』
ぐっさん
『ははは』
特に我慢比べをしてる訳じゃないけど、堪えきれす゛にお互い笑い出す。
せいばー
『…………りん』
りん
『あれで正常だから大丈夫だ、問題無い』
恐らく彼女も寝ているだろうと、静かにドアノブを回して玄関の扉をくぐる。
家の中はいつもと変わる事なく静まりかえっていた。
少し寝室を覗いてみると規則正しい寝息をたてて眠っているみたいだ。
起こさない様に注意を払い寝室の扉を閉める。
彼女の存在に少し疲れが癒された気がして安堵する。
いつもの様に浴室に向かい、一日の疲れを汚れと一緒に洗い流す。
ぐっさん
『ふー……出たら少し何か食べて寝るか』
シャワーの音に紛れて独り言を呟く。
部屋着に着替えて浴室を出ると、奥のリビングの方で何か物音がしている。
泥棒だろうか……不安が頭の中を巡る。
逡巡する気持ちを抑えて傍にあったバールの様なものを持ち、リビングのドアノブに手を掛ける。
心の中で掛け声をひとつ、一気にドアを開け放つと――――
桜
『お帰りなさい』
ぐっさん
『え? あ、れ?』
桜
『ふふ、どうしたんですか? 棒なんて持って』
何とも間抜けな格好の自分に柔らかく破顔するのは先ほど寝ていたと思っていた桜。
テーブルの上には、こぼれ落ちそうな位の豪華な料理と…………ケーキ?
ぐっさん
『え、と。何から聞いたらいいのか……どうしたんだ?』
桜
『あら、ぐっさんったら可笑しい人ですね。今日は何の日ですか?』
ぐっさん
『…………あ』
ケーキに豪華な料理に日付が変わって今日、15日。
ぐっさん
『俺の誕生日だ』
桜
『正解です。さ、座ってくださいな』
桜に促され席に着く。
ぐっさん
『そ、それにしても凄い料理だな』
桜
『だって、ぐっさんはいっぱい食べますでしょ? それに今日は中華にも挑戦したんですよ』
ぐっさん
『いやぁ、あっはっは。勿論、食べる食べる、これぐらいじゃ足りないくらいかな』
桜
『まぁ、ぐっさんったら。ふふ』
箸を持って手近な所から食べ始める。
時間を見越して作っていたのだろうか、冷めてなくて温かい。
それと……。
ぐっさん
『旨い!』
空腹も相まってか、箸の勢いは止まらす゛一心に食べる。
それを見てか、桜は一層目を細めて笑顔になる。
ぐっさん
『ん、むぐ……桜は食べないのか?』
桜
『うん、私もお腹空いちゃったし食べますよ』
とは言うものの箸は持たす゛に、やっぱり笑顔でこちらを見る。
ちょっとだけ気恥ずかしい。
桜
『ねぇ、ぐっさん』
ぐっさん
『ん?』
桜
『お誕生日おめでとう』
端的でストレートな言葉が心の奥にストンと収まる。
落ち着いた桜の言葉が染みる様にじんわりと暖かくなった。
ぐっさん
『ありがとう』
食事の手を止め、俺も素直に言葉にして伝えた。
桜
『ふふ』
ぐっさん
『ははは』
特に我慢比べをしてる訳じゃないけど、堪えきれす゛にお互い笑い出す。
せいばー
『…………りん』
りん
『あれで正常だから大丈夫だ、問題無い』